731部隊とは
第二次世界大戦期に大日本帝国陸軍内に存在していた研究機関
正式名称は「関東軍防疫給水部」
通称は石井部隊とも呼ばれる(指揮官の石井四郎から)
満州に拠点を置き感染症予防や衛生的な水補給の研究を行った
裏側の顔として生物兵器の研究や開発機関でもあったとされる
石井四郎について
1892年生まれ
当時としては珍しい180センチもある体格
長身だと自信満ち溢れる、迫力があった
京都帝国大学医学部を卒業し、軍医として任官
その後京都帝国大学大学院に派遣され、細菌研究を行い医学博士の学位を授与
731部隊設立
1925年に化学兵器と細菌兵器の使用を禁止するジュネーブ議定書が締結
これは第一次世界大戦での惨禍を踏まえて制定
石井四郎は逆にそれだけ脅威があるものだから開発したいと思った
ジュネーブ議定書は使用を禁止、開発は禁止していない
陸軍省や参謀本部に細菌兵器の重要性を説いて回った
1932年石井を中心に軍医5名で防疫研究室が開設
満州にも研究施設の設置し出先機関として関東軍防疫班が組織された
翌1933年から研究が開始された
その後1936年に関東防疫部が新設された(170名)
←このときは加茂部隊と呼ばれた
石井の出身の千葉県加茂集落の出身者が多かったため
1940年に関東防疫給水部へと改編された→731部隊の誕生
この時の所属員が大体3000名くらい
731部隊の活躍
石井四郎が開発した石井式濾水機で給水活動で活躍する
伝染病の発生率を抑える衛生活動も行った
その反面で・・・
731部隊は生物兵器を使ったと言われる
日華事変でペストやチフスなどの病原体をまきちらした
ノモンハン事件で最近の培養液を使用した
これらは一定の成果を上げたような記述も残っているが、自軍にも被害を出してしまったようです。
731部隊で行われた生体実験
中国人やロシア人捕虜に対しての生体実験をしたとされる
実験材料のことを「マルタ」と呼んでいた
これは木の丸太と同じ意味で、いわゆる隠語
マルタは3000人以上いたと言われる
☆生理学的実験
どこまで人体を破壊すると人は死ぬのか
例)ガス実験、凍傷実験、病気にさせる
水だけ飲ませて何日生きられるか
性病実験も行われた
→梅毒に感染させて性行為をさせる
ただこれらは証拠がないためあくまでも証言ベースとなります。
戦後どうなったか
731部隊の研究施設や研究結果を記した書類などはことごとく破壊された
これは証拠隠滅を図ったためと言われる
生き残っていたマルタも全員証拠隠滅のため殺害されたと言われる
そのため現在に至るまで731部隊の実態はよくわかっていない
石井四郎は戦犯として裁かれる対象になり得たが
アメリカ軍との取引によって訴追を免れたと言われる
(アメリカ軍に731部隊での実験結果などを渡すことでの免罪)
米軍は当初731部隊の実態を知らなかった
石井は自分の持つ情報に価値を見出し取引されたとされる
石井は1959年まで余生を過ごし亡くなった(享年67歳)
731部隊の隊員はその後の日本の医療業界で活躍、一定の成果を上げたと言われる
政府見解およびまとめ
日本政府は731部隊での細菌兵器使用や生体実験を公式に認めていない
これは証拠がないためです。確たる証拠があれば認めると思います。
今一般的に言われている事柄は生き残りの兵士の証言であったり、
ソ連や中国側の主張となっている
731部隊悪玉説論者はアメリカの調査では人体実験への言及があったとも言うが
しかしこれもインタビューを元にしている調査結果
つまり今言われていることについては真相がわからない・・・というのが真相なんですね。
もちろん一定の証言があるため、すべてが捏造ではないし、
かと言ってすべてが本当とも言えない・・・
いつか全容が解明されることを願っています。
☆倫理的な考察は『海と毒薬』の回で行ってます。
良かったらご参考にどうぞ
☆放送では言ってない個人的見解です
人体実験が無かったかと言われれば、個人的には「あった」と思います。
かと言って3000人の捕虜を全員人体実験や証拠隠滅で殺害したかと言われれば、
そこは何の証拠も無しに決めつけるのはやりすぎだと思ってます。
731部隊の生き残りの兵士は多いですが、皆自分の役割が縦割りになっていて、他のメンバーが何を行っていたかなどがわかっていなかったようです。
ある証言者は亡くなった捕虜をすぐに解剖したことを、「まだ生温かい人間を解剖することが生体解剖となるのであれば、そうなのだろう(否定はできないという意味と思います)」と言っており、少なからず自分らがやってきたことに自責の念を持っていて自己否定的な論説のほうに傾きやすい土壌ともなっています。
そのため生存兵の証言には憶測も少なからず入っていることと、またソ連の捕虜になった731部隊メンバーの証言の信ぴょう性もはっきりしない中、「これが真実だ」と呼べるものはないと思います。
戦時下では平時の倫理観や思考をベースに考えてはいけないんですね。
捕虜は全て処刑の対象であった・・・が本当なら少しでも役立てるために・・・・という考えに至るのは合理的と言えばそうですが、倫理的に誰も拒むものがいなかったのかというクエスチョンは残ります。(そのあたりは海と毒薬の回でやってますが・・・)