上級国民とはいわゆるネットスラングです。
2019年の池袋で起きた暴走事故の飯塚受刑者に対して、6名の死傷者を出したが逮捕されなかったことを受けてそのように揶揄されて有名になりました。
ご参考👇
何で逮捕されないんだろうと思うよ。
今回は戦前まで存在した特権階級である華族について取り扱います。
華族は明治~昭和の上級国民と呼んで間違いないかと思います。
はじめに
身分制度における身分は生まれながらに決まるものです。
低い身分の者は高い身分の者には逆らえないという社会構造は古くからありました。
身分が高いものは特権を持っている
身分制度の例:江戸時代「士農工商えたひにん」
武士を頂点として、その下に農民・工商人、さらに下にえた・ひにんと呼ばれる身分があった
なお、公家は江戸時代においては武士と同格とされた
明治時代以降
江戸時代の身分制度は廃止され、四民平等とされた
しかし華族、士族、平民のように区別はあった
士族は元武士たちのことです。
廃刀令や秩禄処分によって特権はなくなってしまったので
つまり名ばかり身分となってました。
1884年 華族令によって「華族」という身分が制定される
(以下画像、参考図書より抜粋)
元々華族という身分はなかったんですね。
一応天皇を補佐するために作られた名誉職(名誉身分?)に近い立ち位置です。
華族の階級(位の高い順)
・公爵
・侯爵
・伯爵
・子爵
・男爵
華族の種類
★堂上華族
九条家、近衛家、鷹司家、一条家、二条家のような古来から続く公家の家柄を中心とする。
天皇の儀式や政務に関与する役割を担っていた
有名な人物で言えば岩倉具視や三条実美ですかね。
★大名華族
江戸時代の大名家がそのまま貴族階級となる。
元々彼らは藩主として領地を持っていたが、それらを版籍奉還で失ってしまった。
その代わりに特権階級的な地位を与えられた。
アメとムチみたいなもんですね。(反乱されてもめんどいし)
徳川家や島津家、毛利家などが有名ですね。
★勲功華族
国家に対して特別な功績を上げた人物や子孫に与えたもの。
明治維新の立役者、日本の近代化に貢献した人に多い。
明治~くらいの有名な人はこれに当てはまるケースが多いです。
西郷隆盛、伊藤博文などたくさんいます。
西郷隆盛は1877年に亡くなっているので華族令よりも前にもういないじゃんと思われるかもですが、西郷さんの子孫が西郷さんの功績を称えられて華族となって列せられてます。
渋沢栄一も華族か!
評判の良い放送なのでぜひ音声で聴いてください♪
華族の特権
①政治的特権
華族は、帝国議会の上院である貴族院の議員となる資格があった。
特に公爵、侯爵、伯爵は、貴族院に自動的に議席を持つことができた。
子爵や男爵も互選によって議員となることができた。
②経済的特権
★財産保護: 華族の財産は家の存続を目的として保護されていた。
特に家督相続においては、財産が分割されず、家が存続するような法的な配慮がなされていた。
★政府からの年金: 一部の華族には、政府からの年金が支給されていた。特に高位の華族や勲功華族には、政府から経済的な支援が与えられることがあった。
③教育的特権
学習院への入学ができた。
学習院は皇族や家族のための教育機関、特別な教育を行っていた。
④司法的特権
民事裁判への出頭を求められることがない。
⑤名誉的特権
華族の爵位は世襲制であり、家督を相続する者が爵位を引き継ぐことができた。
これにより、家名と地位が代々にわたって保たれた。
うらやましい限りだね。
華族令の廃止
1947年5月3日 日本国憲法の施行により廃止
14条 「華族その他の貴族の制度はこれを認めない」
これで華族は消滅したかというとそんなことはないんですね。
今も華族がいるの!?
華族として生きていた人、その子孫はもちろん今もいます。
有名なのは麻生太郎さんとかですよね。
(高祖父までたどると大久保利通がいます)
法律上は身分はなくなりましたが別に人がいなくなったわけではないし、その華族同士のつながりも残り続けています。
有名な話ですが霞が関ビルディング34階の霞会館と呼ばれる場所は今でも旧華族の親睦の場所として存在しているんですね。
参考図書
『華族』の知られざる明治/大正/昭和史 日本史シリーズ