女優オードリー・ヘプバーンは言った
「美しい唇である為には、美しい言葉を使いなさい」
音声はこちら↓↓↓
「キスの魔術師」と呼ばれ多くの女性の唇を虜にしたおが太郎がキスの歴史を解説してくれます!
「キス」って日本語に訳すと何だと思う?
「接吻」じゃないの!?
あ~、それは既に西洋に毒されているね(笑)
そのあたり含めて解説します!
唇について
食べるためだけなら別に唇は必要ない
子供を作り子孫を作るためだけなら唇は必要ない
しかし唇は存在するしかも他の皮膚と比べて赤味が強く、厚みがある
なぜだろう?
人類の祖先は熟した果実の場所を特定できるように
赤みがかった色を感知する能力を発達させた
「赤色は報酬」という信号は遺伝子として伝わってきた
現代でも赤色は人の注意を引く色である
心理学によると人は赤色を見ると心拍と鼓動が速くなり興奮を覚える
人類の祖先が4足歩行であったとき
メスの生殖器部分は赤色で目立っていた
チンパンジーとか今でもそうだよね!
発情期にはその赤色部分がさらに膨れ上がり目立つ
股間にあった赤色部分が人類が進化するにつれ、唇へと位置を変えた
何でそうなったのかな?
直立2足歩行によって身体が変化して目立つ性信号の位置も変わった
2足歩行だと目線は相手の顔あたりになる
長まろは違うところ見ているかもしれないけど、、、
確かにもっと下の方が好きだな!・・・て、やめろ!(笑)
そして、キスの時に脳に送る情報量が最も多い部位も唇
あるゆる刺激に敏感な唇は、他の身体部位に比べ情報を伝える神経がたくさんある
下半身の性的刺激で活発化する部位よりも広い
人類は何千年も前から唇を強調する重要さを心得ていた
人類初の口紅は5000年前にシュメール地方に出現し、
古代エジプト、ギリシア、ローマ人は唇に染料などを利用して強調していた
現代においても実験で、女性に様々な色合いの口紅をつけて、
男性から見てどれが1番魅力を感じるかを試した
結果は1番鮮やかで赤い唇を一位に選ぶ
だから今でも、多くの人はアンジェリーナ・ジョリーンの唇に憧れたり
槇原のりゆきの唇にあこがれるんですね!
マッキーに憧れるのかな?(笑)
なぜ人はキスをするのか
①母乳による子供を育てる栄養摂取行為からきている
乳児に栄養分を与えることへの重要性を考えると進化の過程で
人の乳房と唇がピッタリ合う形になった
だから唇の形は母乳を飲むのに適している
母親に抱かれ母乳を飲んだことは後々まで影響を及ぼし、
唇と唇を合わせれば愛情と信頼感を得られる
キスの快感は乳房をしゃぶる栄養摂取行為から求められるようになった
約2/3の人が頭を右に傾かせてキスをする
それは右利き左利きとは関係ない
それはなぜか?母親の80%が左胸に赤ちゃんを抱き寄せる。
そこで赤ちゃんが母乳を飲むには頭を右側に傾けなければいけないからですね。
②母親が子供に口移しをして食事を与えた
紀元前1200年頃に地中海で繁栄したフェニキア人の記録 「子供が病気になり水を飲む力もなく死にそうになった時に、 母親が自分の口に水を含んで子供の口に注ぎ込んだ」 この口移しに愛情を感じ、以来、愛の表現としてキスが交わされた
それと、昔は離乳食っていうものがなかった。
だから母親が食べ物を噛み砕き、それを口移しに赤ん坊に食べさせた。
だから、キスをすると愛情を感じ安心感が得られるのかもしれないね!
③匂いを嗅ぎ合うことからキスが生まれた
人類の祖先も親しい人を区別するときの手がかりとして、匂いを嗅ぎあっていた
これが挨拶する時にキスをすることで、同時に匂いを嗅ぎあうことになっていった
犬とか見てても互いの匂いを嗅いでいるよね!
④鳥の行為を模倣した
鳥は100万年以上も前からクチバシとクチバシを付き合わせて挨拶や求愛行動をしてきた
この鳥の行為の模倣から始まったのがキスなのでは?
漢字で鳥が鳴くの「鳴く」の字は左が「口」で右が「鳥」と書く
これは鳥がよく嘴をつきあわせる行為を、
人が口と口を重ね合わせるキスの行為に転用したもの
色々な説があるけど、間違いなく言えることは「キスの行為は人類が進化してきた遺産」だと思います!
日本のキスの歴史
古来の日本のキスとは
紀貫之の『土佐日記』(平安時代) 「押鮎の口をのみぞ吸う」 紀貫之が京都から土佐に赴任していて、そこで正月を迎える 食卓には「押し鮎」これは塩漬けして干した鮎があり この鮎の固い頭をかみ、なめるという行為が男女間の「口を吸う」ことを連想したもの 吸われる鮎もどう思っているのだろうかと、ジョークを交えた文面
ここで「口を吸う」って言葉出てきたんだけど、
室町時代の今昔物語にも「口吸い」という言葉が出てきているんですね。
この「口を吸う」という言葉がジャパニーズキスなの。
室町時代後期『李娃物語』
中国の唐の物語を日本人が伝え聞いて書き残した
「かたらふ」と読む字が登場・・・舌へんに「和」と書く
「かたらふ」は男女が互いに口に出して誓いあう
舌を触れ合わせるというキスの具体的行為があらわされている
江戸時代にはキスという行為を「呂」という漢字で表している
キスとは口と口を合わせること
「口」の字を二つ重ねて、その中間に舌を表す「ノ」を入れた
日本のキスは口を接するだけでなく、その間に舌が重大な働きをしているんですね。
西洋のキスの登場
1543年 ポルトガル船が種子島漂着し、日本と西洋諸国との交流が始まった。 その一つにキリスト教布教があった。 聖書の中には多くのキスが出てくる。 そのキスの風習は当然日本へ入ってきたことは想像される。
日本の「口を吸う」は純然たる愛情の行為であって、
西洋のキスには尊敬、服従、挨拶的な意味がある
日本にはそれらの意味はない
西洋も愛情のキスはあるけど、英語で表すなら「love」のキス
日本は「lust」・・・情欲、欲望の性質がある
だから、西洋のように公然と人前で行われるものではなく、日本は秘密に2人きりで
って感じなんだよね。
【江戸時代の遊女のエピソード】
遊女は身の自由を奪われている。
しかし心だけは自分のものだから、誰にも許したくない。
それをどう示すのだと問われたら。私は口だけは許しません。
ここに、日本の口吸いの特質がある。
これは感覚論だけどなんかわかる気がするね!
【西洋のキスの最初の体験者】 「天正遣欧使節」 九州のキリシタン大名がローマ教皇へキリスト教を伝えてくれた感謝と今後もキリスト教に従う意味をこめてローマに使節を派遣。 ポルトガル船に乗って長崎から日本人初のヨーロッパへ旅立った。 イタリア各地を回って西洋の挨拶的な、または尊敬の意味を込めたキスを経験している。
接吻誕生
江戸時代まで口を重ね合わせる行為は「口吸う」だった
男女の愛情、性の文化が花開いたのも江戸時代
洒落本、艶本などさまざまなジャンルの出版物が出てきて
そこに「口吸い」が描かれているけど、羽交い絞めに抱き合ってすごい絵がいっぱいあるね。
口吸う、口つけ、口ねぶり、口合わせ、口寄せ、舌吸いなど様々な語が頻繁に現れる
これらの言葉が幕末から徐々に「接吻」という言葉に変わっていく
そもそもそれまで、接吻という言葉は日本で
使われていた記録はないんですね。
ではなぜ誕生したのか?
江戸時代はオランダと交易していたため、オランダ語は重要視されてた
1855年 オランダ人ヘンドリック・ドゥーフが道富法児馬(ドゥーフ・ハルマ)を出版
蘭和辞典・・・オランダ語を日本語で解説した辞書
ここで西洋の「キス」を日本語にするとしたらどうするかが考えられた
「口を吸う」でいいじゃない?
それまで使っていた「口を吸う」ではダメだったんですね。
なぜなら、西洋の儀礼的意味が含まれていないので。
だから新しい訳語が必要だったんです。
キスの翻訳語として初めて接吻(あまくち)という漢字が出てくる
これは中国語にある接吻という言葉をあてがったとも言われる
清朝の時代に「接吻」の語は存在する
口移しのことなので意味は異なっていた
その後、ペリー来航により語学はオランダ語から英語に比重が移っていく
その時に道富法児馬(ドゥーフ・ハルマ)が英和辞典の母胎となり
英和辞書においてもキスの訳語に「接吻」を採用
キリスト教の聖書にもキスの訳語として接吻が採用される
ただ、その読み方は「くちつけ」になりました。
「接吻」という漢字が使われたが、これをどう読むかは当時葛藤があったのでは?
なぜ「くちつけ」にしたのかは、おそらく一般大衆が誰でも分かるような言葉を用いることにしたためではないかな。
その後、昔から使っていた「口吸う」という言葉はだんだん使われなくなった
1886年に日本で発行されたロミオとジュリエット
文芸作品で接吻が使われた初めての作品
その後、「くちつけ」に濁点がつき「くちづけ」
明治40年以後は「せっぷん」とも呼ばれる
そして現代に至るまで
明治~大正頃より外来語をそのままの音で話すことが流行する
キスも日本語に訳さずに「キッス」とそのまま呼ばれるようになった
大正に入ってりキスが徐々に取り締まり強化されていった
これは、公共性を重視して性的興奮に繋がるようなものへの抑圧が強まったためである
彫刻家のロダンの作品が東京に来た時に
有名な接吻の像も入っていたが、これを閲覧禁止にした
また外国映画からキスシーンは多くカットされた
戦時中は「キス」という言葉さえ人前で使われなくなった時期もある
しかし未だかつて、どんな権力者でさえ国民の唇を支配することは出来なかった
さすがキスの専門家・・・
特に映像の世界がキスを広めた
戦後では、映画のキスシーンは見せ場として観客を夢中にさせた
映像には自分を想像させる力があり
情熱的なキス、ドラマチックなキスをしたいと欲望を掻き立てる
ちなみに日本映画で初のキスシーン作品は
1946年に公開された『はたちの青春』っていう映画です。
このキスシーンを取る際に2人の男女の口の間にオキシドールを
染み込ませた小さなガーゼを挟んで撮影したらしい。
直接、触れ合うのに抵抗があったのかね・・・。
日本映画でも、西洋の映画でもキスシーンは見せ場で、
異様にキスシーンが長かったり、演出にすごく力を入れていますね。
こうして今、西洋の影響をうけたキスが日本人に徐々に浸透してきた
ただ今でも日本人は西洋のように人前で公然と行うのは抵抗がある人が多い
そして、日本のキスは今でも挨拶や尊敬、服従の意味はなく愛情表現のみ
そこには日本人が古来から引き継いできた価値観・慣習が残っている
※注意点
今回の話を聞いて、日本人は昔から「口吸い」と言って舌を使って激しい愛情表現をしてたんだって思って、妻や彼女にいきなり舌を激しくからめたりとか、そういう事は望んでおりません。
それだけは注意をお願いします。
いや、その心配は大丈夫だと思う(笑)