「西山事件」沖縄返還協定の日米密約

事件
おが太郎
おが太郎

ちょっと待って、そのリクエスト、やらずにはいられない。

長まろ
長まろ

そんなわけで今日は西山事件についてやります!

西山事件とは
1971年の日米沖縄返還協定に際し、
日米との間に密約があったことを毎日新聞の西山記者がリークした事件

密約の内容
本来アメリカが沖縄の地権者などへ支払うべき補償費を、日本が支払うというもの。
400万ドルを日本が肩代わりするというもの。

沖縄返還協定について
沖縄は沖縄戦以降アメリカの占領下におかれた
サンフランシスコ講和条約によりアメリカの統治下→日本とは切り離される
それ以降沖縄では日本への復帰運動が行われてきた

1969年 佐藤栄作ーニクソンの首脳会談で沖縄の日本復帰に合意
1971年 沖縄返還協定が調印
翌年日本への復帰が実現
→ただし従来同様に沖縄の土地を米軍基地として提供
→返還跡地の原状回復費用として地権者に400万ドルが支払われる約束

長まろ
長まろ

この400万ドルが実は日本が肩代わりさせられるという密約なわけです。

西山事件について
1972年の悠議員予算委員会で日本社会党が密約について追及
外務省が打電した極秘電報のコピーを持っていた
そこに沖縄返還協定について話し合われた内容が書かれていた
政府はコピーが外務省の物だとは認めたが密約については否定

この密約について書かれた資料を社会党に提供したのが西山記者

★西山 太吉(1931~2023)
毎日新聞社の記者(政治部記者)
事件当時は40歳

どこでこの機密情報を得たのかが問題となる
西山記者が情報を手に入れたのは外務省の女性事務官から
情報を手に入れるために不倫関係となり
女性事務官に依頼をして情報を手に入れた

国家公務員法の守秘義務違反で2人は逮捕される
世間は密約よりも2人の不倫関係や情報の漏洩に注目した

判決について
一審で西山記者は無罪、女性事務官は有罪(懲役6か月執行猶予1年)
二審では西山記者に懲役4か月・執行猶予1年
最高裁でも変わらず有罪が確定

【判決要旨】
報道機関が公務員に対し秘密を漏示するようにそそのかしたからといつて、
直ちに当該行為の違法性が推定されるものではなく、
それが真に報道の目的からでたものであり、
その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして
社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き正当な業務行為である


当初から秘密文書を入手するための手段として利用する意図で
女性の公務員と肉体関係を持ち、同女が右関係のため
被告人の依頼を拒み難い心理状態に陥つたことに乗じて
秘密文書を持ち出させたなど取材対象者の人格を著しく蹂躪した本件取材行為は、
正当な取材活動の範囲を逸脱するものである。
憲法21条 報道の自由
「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」

西山記者の行為は正当な取材活動の範囲から逸脱していて、
報道の自由は無制限ではないということ
→いわゆる知る権利」にも一定の制約を受ける判例となる

長まろ
長まろ

西山事件は歴史と言うよりは法律の勉強していると必ず出てくる事件です。

■その後
女性事務官は退職・離婚をした
その後はプライバシーもあるため名前も報道されなくなった

西山記者は毎日新聞社を退社
家業を継いだがバブル崩壊とともにジャーナリストに転身

2000年 アメリカで沖縄返還協定での密約があったことを示す文書が公開された
西山記者はそれを受けて不当に起訴されたことで国を訴えた
→最高裁判決で棄却される
 損害賠償も請求権が消滅、密約文書の非公開も当時の日本政府判断が妥当とされた

長まろ
長まろ

結局のところ西山事件はリークされた記事の内容ではなく、不倫問題が大きく取り上げられ、論理のすり替えが起きてしまいました。

人々は一個人の欲情の方が関心が高いのかもしれないですね・・・

★音声はこちらから👇

【参考】記者と国家 西山太吉の遺言
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